金の仏具で相続税対策？ー隠された罠に注意

金の仏具で相続税対策？

以前、当ブログで、祭祀財産は相続財産では無く、相続税の課税の対象にも当たらないことをご説明しましたが、最近、相続税対策になると考えて、金の仏具 (おりんなど) を購入する方が増えているとニュースで話題になっていました。

以前ご説明した通り、国税庁のサイトでも「相続税がかからない財産」として「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」と説明しています。

相続税が発生するであろう方が、課税されるであろう財産５００万円で、金の仏具を５００万円で購入すると、非課税財産５００万円に変わり、相続税が課税される財産が減るということになります。

そうすると「金の仏具を買うと相続税を節税できる」というのはあながちウソではありません。

実際、そうおもっていいらっしゃる方がほとんどでしょう。

しかし、話はここでは終わりません。先ほどの国税庁のサイトの一文には続きがあります。

「ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります」
つまり【本当に】日常的に使っているのであればそれが金でできていようが非課税となるのですが、 相続税を減らす目的や転売目的で持っている場合にはそれは単なる「動産」であり、相続税の課税の対象になるという訳です。

国税庁や税理士の知人からも聞きましたが、どういう場合にはきちんと非課税財産として認められて、どういう場合には課税対象になるのかという明確な基準があるわけでは無いので、そこは個別事案ごとに調査をして、実態から判断するということになるでしょう。とのことです。

相続税対策の波に乗った、金の仏具商法の罠

① 相続税対策に良いとの、営業トークに乗り、金のおりんを５００万円で購入したとしましょう。
② その後、相続が発生し、実態としては節税目的で金のおりんを購入していたけど、たまたま税務調査でも指摘されずに済みました。
③ その金のおりんを取得した相続人が、「金のおりんなど持ってても仕方ないから換金しよう」ということで換金した場合、はたしていくらぐらいのお金になるのでしょうか？

この時点で罠に気づけた方もいらっしゃるでしょう。

購入時の【５００万円】という額には、純粋な金としての金額に加工代などの金額が上乗せされています。換金する際には単純に「金」としての価値しかありません。買ったときと金の相場にもよりますが、買ったときの半分程度の金額にしかならない可能性が多いでしょう。

購入時５００万円の、金のおりんだとしても２５０万円程度でしか売れないのです。

つまりは、

５００万円の金のおりんを買った時点では２５０万円を損しています。

相続発生後に相続税が２５０万円以上少なくなっていないと結果的には、相続人の手元に残るお金は減ってしまうということになります。

相続税の税率が１０％、２０％程度の人であればこの節税方法を使うと確実に節税できる金額以上に手元のお金が減ってしまうことになるでしょう。

販売する側は、節税になると言って、個別具体的な事情も知らずに、営業してくるでしょう。聞こえの良い営業文句には注意が必要ですね。

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