税務調査とは、行政機関が納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りがあれば是正を求める一連の調査をいいます。
日本の所得税、法人税、相続税を始めとする国税の多くでは、納税者自身が管轄の税務署へ所得などの申告を行って税額を確定させ、この税額を自ら納付する申告納税制度が採られています。しかし、自ら申告する以上、その内容や税額に誤りが生じたり、悪質な納税者による虚偽の申告により不当に納税を免れられる恐れがあり、日本の国税庁の文書では、「このような誤った申告が横行し、納税者間に課税の不公平感が生じないよう、国税庁およびその管轄組織により、納税義務が適正に果たされていないと認められる納税者に対して、その誤りを正すために行われる」とされています。
調査の下準備を行った上で、納税者に文書提出や電話、来署を求めて申告の是正を行うほか、調査対象となる納税者の活動拠点に出向いて日々の取引が記帳された帳簿書類などを調査する「実地調査」、納税者の取引状況を確認すべく取引先を調査する「反面調査」、納税者の資産状況や取引状況を知るために取引銀行を調査する「銀行調査」を、それぞれ実施しています。
実地調査では、国税査察官の写真入り身分証明書が納税者に必ず提示され、身分と氏名が明らかにされます。原則として、納税者本人の立ち会いの下に行われるますが、必要に応じて関与税理士を立ち会わせることができます。
「マルサ」で知られる国税局査察部(調査査察部)が、脱税の疑われる納税者に対して、裁判所の令状を得て強制的に行う調査をいいます。納税に関する資料を押収できる権限を有し、納税者はこの調査を拒絶できません。脱税行為が証拠上特定されれば検察庁に告発され、その場合には刑事事件として処理される事となります。ただし、概ね脱税額が1億円を超え、かつ悪質な仮装隠蔽工作がなされたと想定される事案に限られます。
強制調査とは異なり、国税通則法第34条の6第3項の規定に従って、国税局資料調査課や国税局調査部、管轄税務署の調査官(以下、「担当職員」と称する)により納税者の同意の下で行われる調査をいいます。一般的な税務調査のほとんどは、この任意調査です。同項に定める通り、担当職員は税金に関する質問を納税者に行える「質問検査権」を有しているため、納税者はこの質問を黙秘したり、虚偽の陳述をすることができません。
任意調査が実施される際には、納税者またはその関与税理士あてに、電話または文書で1週間以上前に事前通知されるのが一般的です。なお、示された日程について都合が悪ければ、変更することができます。ただし、現金で商売を行う事業者に対してなど、ありのままの事業実態などの確認を行う必要がある場合には、事前通知なく抜き打ちで調査することが認められています。この事前通知は、所得税の調査で約8割、法人税の調査で約9割実施されています。
相続手続き・遺言作成・遺産分割・遺品整理等でお困りの方は、
大阪堺相続・遺言相談センターへお気軽にご相談ください。