補助 とは、認知症、知的障害、精神障害などによって、一人で判断する能力が不十分な方について、申立てによって、家庭裁判所が「補助開始の審判」をして、本人を援助する人として補助人を選任する制度です。
精神上の障害により判断能力が「不十分な」者のうち、後見や保佐の程度に至らない軽度の状態にある者を対象とします。
補助開始の審判の請求権者は本人、配偶者、4親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。)、保佐人、保佐監督人または検察官です。なお市町村長も65歳以上の者、知的障害者、精神障害者につきその福祉を図るため特に必要があると認めるときは補助開始の審判を請求することができることとされています。ただし、精神上の障害により判断能力を欠く常況にある者及び精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者については後見開始の審判もしくは保佐開始の審判を請求すべきであるから補助開始の審判を請求することはできません。
家庭裁判所の補助開始の審判により補助人を付すとの審判を受けたものを被補助人、本人の行う法律行為を補助する者として選任された者を補助人と呼びます。
補助は事理弁識能力の低下が後見や保佐の程度に至らない軽度の状態にある者を対象としており、自己決定の尊重の観点から、後見・保佐とは異なり本人の申立て又は同意を審判の要件とされています。
補助開始の審判には必ず併せて同意権付与の審判あるいは代理権付与の審判の一方又は双方の審判がなされます。補助人の権能は補助開始の審判を基礎としてなされる同意権付与の審判や代理権付与の審判の組み合わせによって内容が定まります。したがって、被補助人に同意権付与の審判と代理権付与の審判の双方がなされている場合にはその補助人には同意権・取消権・代理権が認められ同意権付与の審判のみの場合には同意権・取消権のみが、代理権付与の審判のみの場合には代理権のみが認められることにります。ただし、いずれの場合も身分法上の行為など、本人の意思のみによって決めるべき(一身専属的)事項については同意権・取消権・代理権を行使できません。なお、補助人が被補助人に代わってその居住用の建物・敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
補助人が補助の事務を行うにあたっては、被補助人の意思を尊重し、かつ、その心身状態及び生活状況に配慮しなければならない義務を負います。
補助人またはその代理人と被補助人との利益相反行為について、補助人は臨時補助人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。ただし、補助監督人が選任されている場合には補助監督人によります。
家庭裁判所は必要があると認めるときは被補助人、その親族もしくは補助人の請求または職権により補助監督人を選任することができます。補助監督人の職務権限については後見監督人の規定が準用されます。
同意権付与の審判の請求権者は補助開始の審判の請求権者または補助人もしくは補助監督人です。市町村長も65歳以上の者、知的障害者、精神障害者につきその福祉を図るため特に必要があると認めるときは同意権付与の審判を請求することができることとされています。本人以外の者の請求による場合に本人の同意がなければならないのは補助開始の審判と同様です。被補助人に同意権付与の審判がなされている場合には、被補助人は民法13条1項に列挙されている行為の一部の法律行為について補助人の同意を要します。補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは家庭裁判所は被補助人の請求により補助人の同意に代わる許可を与えることができます。 被補助人が補助人の同意を要するとされた法律行為を補助人の同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずに行った場合は、当該法律行為を取り消すことができます。
代理権付与の審判の請求権者は補助開始の審判の請求権者または補助人もしくは補助監督人です。市町村長も65歳以上の者、知的障害者、精神障害者につきその福祉を図るため特に必要があると認めるときは代理権付与の審判を請求することができることとされています。被補助人に代理権付与の審判がなされている場合には、特定の法律行為について補助人に代理権が付与されます。ただし、被補助人本人以外の請求によるときは本人の同意を要します。
相続手続き・遺言作成・遺産分割・遺品整理等でお困りの方は、
大阪堺相続・遺言相談センターへお気軽にご相談ください。